葬儀後にはこのような手続きが必要になります~死亡後の手続きと期限~
被相続人がお亡くなりになった後に進めなければならない手続をまとめました。
これらの手続きのなかには、きちんと期限内に処理しておかないと、思いもよらないような負担が生じてしまうものもありますので気を付けなければなりません。
手続きの漏れが無いように注意しましょう。
▼最初にすべき手続きとは >>
相続が発生した場合に最初に行うべき手続きが「死亡届」です。原則としてお亡くなりになった日から7日以内に手続きをすべきこととなっていますので必ず忘れないようにしましょう。
▼期限が決められている手続きとは >>
期限が決められている行政上の手続きもあります。これらの手続きを忘れてしまうとペナルティを受けることもあります。知らなかったでは済まされませんので注意が必要です。思いもよらない大きな負担やトラブルの原因にもなりますので、事前に手続きに漏れが無いようにチェックしましょう。
▼必要な相続手続きのチェック表 >>
相続が起こった場合に必要となる手続きを一覧にしました。チェック表を参考にして、それぞれ手続き漏れが無いようにチェックしていきましょう。
最初に必要な手続き
ここでは、突然相続が発生してしまった場合に必要となる最初の手続をご説明します。
「相続」とは、被相続人がお亡くなりになった時点から始まります。
相続が発生した場合、最初に必要となる手続は、死亡届の提出になります。
死亡届を提出する
被相続人がお亡くなりになってから7日以内に、医師に死亡診断書を発行してもらい、その診断書を添付して所定の市区町村に提出します。
お亡くなりになった日、またはお亡くなりになったことを知った日から7日以内に、市区町村の窓口へ「死亡届」を提出する必要があります。(死亡届を提出しないと、火葬・埋葬するために必要な死体火葬許可証が発行されないのです。)
通常であれば死亡届と死亡診断書はセットになっていますので、病院で死亡診断書を作成してもらった際に、死亡届も一緒に作成してしまうようにしましょう。(ちなみに生命保険などを受け取るときも死亡診断書が必要となります)。
市区町村に死亡届が提出されると、戸籍情報に死亡の事項が記載され、また住民票の記載も抹消されるようになります。
死亡届の提出は、「亡くなった方の本籍地・死亡した場所・届出をする人の住所地・届出をする人の所在地」のいずれかの市区町村役場になります。
埋葬や火葬する場合には、「埋・火葬許可証」が必要になります。死亡届の手続きが済まないと許可が降りませんので、死亡届は早めに提出しておくようにしましょう。
必要となる書類
- 死亡届書(病院や市区町村役場の窓口にあります。通常であれば死亡診断書とセットになっています)
- 届出をする人の印鑑(認印でも可)
- 国民健康保険被保険者証(国民健康保険に加入している人のみ)
- 国民年金手帳または国民年金証書(年金を受給している人のみ)
- 介護保険被保険者証(介護保険に加入している人のみ)
期限が決められている手続き
相続が発生した場合、一定の期限までに行わなければならない行政上の手続きがあります。これらの手続きは相続が発生してから定められた期間内に処理しないとペナルティを受けることがあります。
死亡届や具体的な相続手続き、所得税の準確定申告や相続税の申告などの税務手続きなど、様々な手続きについて説明していきます。
相続開始後7日以内に必要となる手続き
死亡届
お亡くなりになった日から7日以内に、医師が作成した死亡診断書を添付して、所定の市区町村の窓口へ提出します。
相続開始後3ヶ月以内に必要となる手続き
相続放棄
相続財産を引き継ぐべき人(相続人)が、お亡くなりになった人(被相続人)の財産や債務を引き継ぐことをについて拒否することを「相続放棄」といいます。例えば、被相続人が借金などマイナスの財産が現預金や土地などプラス財産よりも多い場合には、相続して財産や債務を引き継いだ場合に多くの負担を抱えてしまうことがあります。このような場合には「相続放棄」をすることにより、借金などの負担を免れることができるのです。
ただし、この手続きをするためにはお亡くなりになった日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し出ることが必要となるので注意が必要です。
限定承認
亡くなった人(相続人)の財産について、プラスの財産もマイナスの財産も全てを包括的に承継することを「単純承認」といいます。
これに対して、承継するプラスの財産の範囲内でのみマイナスの財産を承継することを「限定承認」といいます。
相続によって引き継ぐ財産のうち、かなり多額の借金がありそうな場合や相続時点では借金の額を把握しきれない場合などに使います。この「限定承認」についても家庭裁判所に申し出ることが必要です。(申し出の無い場合には単純承認をしたものとみなされます)
4ヶ月以内にやらなければならないこと
亡くなった年の所得税の申告(準確定申告)
アパートや貸家などの不動産から生じる収入(不動産所得)や個人でお店をやっている場合などの収入(事業所得)がある人などは、基本的に翌年の3月15日までに所得税の確定申告が必要となります。所得税の確定申告が必要となるような方が亡くなった場合、その年の1月1日から死亡の日までの期間の収入についても確定申告をする必要があります。この確定申告のことを「準確定申告」と言います。
準確定申告は、原則として亡くなった人(被相続人)の住所を所轄する税務署に対して申告をします。準確定申告については、相続人全員が申告をする義務があり、またその申告により納税額が発生した場合には連帯して納付しなければなりません。(実際には相続人の中で代表者を決めてその方がまとめて申告を行うこととなります。)
10ヶ月以内にやらなければならないこと
相続税の申告
亡くなった方(被相続人)の財産が一定額以上ある場合には、相続税が発生することがあります。相続税が発生する場合には、相続の開始があることを知った日(相続日)から10ヶ月以内に、相続人の全てが相続税の申告を行わなければなりません。
相続税というものは、相続人が取得した財産に基づいて計算されます。そのため、相続税の申告期限内(10ヶ月以内)には、どのように財産を分けるのかという遺産分割協議をまとめておかなければなりません。この遺産分割協議がまとまっていないと、相続税額を減らす効果のある特例などが受けられないのです。ですので、遺産分割協議自体も相続税の申告期限までに終わらせておくことが賢明と言えます。
相続税の納付
相続税が発生した場合には、原則として相続税の申告期限内(10カ月以内)に現金で一括納付しなければなりません。分割で納付を行う方法(延納)や相続した財産により納付を行う方法(物納)などもありますが、申告期限までに相続税の申告書及び申請書を提出し、税務署の許可を受けなければなりません。従って、どちらにしても10カ月以内に税額を確定させておく必要はあります。
1年以内にやらなければいけないこと
遺留分の減殺請求
日本の民法では、法律で決められた相続人については、遺産のうち最低限相続をすることが出来る権利が保証されています。この保証されている相続分を「遺留分」と言います。もし、遺言などにより遺留分に満たない額の財産しか受け取れなかった場合、遺留分以上に財産を相続した他の相続人などに対して、自分の遺留分に不足する財産を取り返すことができます。この請求を「遺留分の減殺請求(げんさいせいきゅう)」と言い、相続の開始があることを知った日から1年以内に行わなければなりません。1年を経過してしまうと請求を行えなくなってしまいます。
3年10ヵ月以内にやらなければいけないこと
相続税の特例適用のための分割期限
相続税には様々な税額の軽減の特例があります。亡くなった方の配偶者が受けることができる「配偶者の税額軽減」や一定の不動産を取得した方が受けることができる「小規模宅地の評価減」「特定事業用資産の特例」など様々なものが用意されています。
ただし、これらの特例の多くが遺産分割協議が終わっている(誰がどの財産を取得するか決まっている)ことが要件となっています。相続税の申告期限(亡くなった日から10カ月以内)までに遺産分割協議がまとまっていない場合には、これらの有利な特例を受けることができません。ただし、適用を受けない状態で申告した場合でも、申告期限から3年以内に遺産分割協議がまとまれば、特例を適用して相続税の申告をやり直すことができます。
ただ、相続した財産を売却(譲渡)した場合に受けることができる所得税の特例(相続税の取得費加算の特例)は、相続税の申告期限から3年以内に売却が行われたときにのみ適用できますので注意が必要です。
上記のような内容が、相続について期限がある手続きになります。これらの手続きは、相続があった方全員が必要となるわけではありません。
ただ、実際に手続きをしていなければ、本来は受けることができた様々な特典が受けられなくなってしまうのです。知らなかったと言ってもどうにもなりません。もしも、自分で判断をすることが難しいと思われる方は、すぐにお問合せください。
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手続きチェック表
手続きは、下記の一覧からご確認ください。